最近の動向

― 鋭意取材中!!柳原三佳・日本の検視・司法解剖の問題を斬る!―

<警察庁 死因究明研究会を設置>
かねてから問題提起してきた「死因究明問題」。いよいよ警察庁が具体的に動 き始めました! 有識者の委員の中には、法医学会の理事長、東京都監察医務院長のほか、「焼かれる前に語れ」(WAVE出版)で共著を出させていただいた、千葉大学法の岩瀬 博太郎教授も入っておられます。  死因不明で苦しむ遺族や、犯罪の見逃しが起こらないよう、ぜひ充実した議 論を展開し、制度の改革を目指していただきたいと思っています。

■警察庁 死因究明研を設置 鳥取、埼玉、相撲部屋リンチ…初動強化で事件闇に葬るな (1月21日12時5分配信 産経新聞)
  警察庁は21日、外部有識者などで構成する「死因究明制度のあり方に関する研究会」を設置した。殺人など犯罪による死が見過ごされ、真実が闇に葬り去られることを防ぐための包括的な制度の構築がねらいで、29日に同庁で初会議を開催。刑事法制や法医学の観点から他省庁の領域に踏み込んだテーマも含めて議論を進め、1年以内に死因究明の精度向上に有効な方策について提言をまとめる方針だ。  埼玉、鳥取両県で昨年相次いで発覚した連続不審死事件など、犯罪死が初動捜査段階で見逃されたケースが近年、目立ってきている。平成19年、大相撲の時津風部屋で力士が暴行を受けて死亡した事件では、遺体検案の“プロ”である警察本部の検視官が現場に出向かず、初動段階で刑事事件として捜査していなかったことが問題視された。こうした現状について警察庁では、検視官や行政・司法解剖を執刀する法医学者の不足などが背景にあるとして検視官を増員、現場に積極的に出ることを指導してきたほか、遺体の薬物摂取状況を鑑定する検査キットを警察署に配備するなどの対策を取ってきた。  また、死因特定が困難な遺体を医療機関でCTスキャン(コンピューター断層撮影装置)にかけ、画像分析で犯罪性の有無を見極める「死亡時画像診断」 も導入。厚生労働省や文部科学省に法医学者の養成環境を整えるよう求めてもいる。  しかし、平成20年に全国の警察が取り扱った変死体の数は16万1838 体と10年前の約1・5倍に増加した一方、行政を含む解剖遺体総数は1万5716体と全体の約9・7%にとどまっており、「高齢化によって警察が取り扱う死体の数は増加傾向にあり、犯罪死がその中に埋没して見逃される懸念が高い現状に変わりはない」(司法関係者)。 研究会ではこうした国内の現状のほか、検視局制度がある米国など海外のさ まざまな制度についても調査、研究する方針だ。  警察庁は「提言を大胆に取り入れ、他官庁にも協力を求めて重大犯罪を見逃さないシステムの構築を進めていく」(幹部)としている。

 

© 柳原 三佳